大阪市西成区の東北端、およそ0.62平方キロメートルに及ぶ一帯は、古くは「釜ヶ崎」、行政やメディアからは「あいりん地区」と呼ばれる場所がある。
日雇労働者の街として栄えたこの場所は、仕事の減少とともにホームレスの人の街、生活保護受給者の街と姿を変えてきた。
特に、炊き出し志絆会が活動を行う「あいりん労働福祉センター」は、病院や食堂、技能講習等の様々な機能を持つ、釜ヶ崎の中心的な施設だ。
午前5時より日雇労働者と仕事を斡旋する者が集まり、土工や解体業などの仕事の求人活動が行われている。
それゆえ、日雇労働者は釜ヶ崎に多く集まっているのだ。
そんな日雇労働者の街として、釜ヶ崎は「ドヤ街」とも呼ばれる。
日本各地にこうした日雇労働者の街があるのだが、釜ヶ崎は、東京の山谷、横浜の寿町と並んで日本三大ドヤ街と言われる。
ドヤ街に特徴的なのは、簡易宿泊所(通称・ドヤ)、つまり、安いホテルが立ち並んでいることだ。
というのも、日雇労働で働く場所は、その日の朝に決まるので、遠方になった場合、二重の家賃を払うことを防止すべく、日払いのドヤに泊まるのだ。
また、ドヤ暮らしとなるので、コインロッカーやコインランドリー、銭湯、弁当屋が多いこともドヤ街の特徴だ。
しかし、日雇労働は過酷な土木工事で50歳を過ぎると徐々に雇ってはもらえなくなる。
また、危険な作業が多いので怪我をして働けなくなる人も多い。
ただ、日雇労働がなくなることは、貯金もなかなかできない環境だった故にホームレス状態に直結している。
しかし、一度ホームレスになってしまうと、そこからの脱出は容易ではない。
そんなホームレスの人にとっては、一杯の温かいカレーが心温まる瞬間となっている。